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ソラゴト通信局

呼吸するライトノベル作家・石原宙のブログです

『世界で2番目におもしろいライトノベル。』発売によせて


本日10/23(金)『世界で2番目におもしろいライトノベル。』(集英社DX文庫)

ついに発売です。







今作のテーマは、「ライトノベルは妙な批判が多いけど、そうした叩きもひっくるめて笑い飛ばして、みんなでもっと楽しもうよ!」ということです。

ラノベは自由で貪欲で、浅はかな叩きなんてそれすら笑いのネタにするバイタリティがあって、それが私は大好きです。

形式とか格式だとかどうでもよくて、ただ自由で、楽しくて、嫌な現実から違う世界へ連れていってくれます。

本のあとがきにも少し書きました。

漫画やライトノベルのともすれば軽んじられる馬鹿騒ぎが誰かを救うことがあります。

私は何度も救われました。

頭の線が焼き切れそうなほど悔しい思いもしたし、なんで自分ばっかりこんなに苦しまなきゃなんないんだって死にたくもなりました。

でも、漫画やライトノベルがこことは違う世界があることを教えてくれたし、夢や勇気をくれたし、かわいい女の子の素敵な笑顔とパンツを見せてくれました。

私にとってライトノベルは理不尽な現実に対抗する鎮痛剤であり、明日のための充電基地でした。

この作品は、だから恩返しでもあります。

ライトノベルはいま苦境に立たされています。市場規模が右肩上がりの時期は終わり、売り上げは年々減少を続けています。

的を射ない批判にさらされ、ネットに乗って強化されたデマゴーグが多くの人を惑わせています。

それを救うだなんておこがましくて言えないですが、こんな私でも「ライトノベルは面白いんだよ!」と叫ぶことはできます。

私みたいな下っ端がライトノベルをテーマに書くだなんて恐れ多くて、かなり悩みましたが、好きなものを好きと言うだけだと考えると、覚悟が決まって、筆もすいすい進みました。

私はラッキースケベが好きだし、普段は頼りないけど戦えば無敵の主人公が大好きです。

異世界が好きです。勇者と魔王が好きです。異能バトルも大好きです。

平凡な男の子がある日、運命を背負った美少女に出会って、規格外の能力に目覚め、大事なものを守るために戦う。

超かっこいいです。

かわいい女の子に囲まれて、意味不明の部活に無理やり入部させられて、ありえない強権を持つ生徒会と対決する。

幸せじゃないですか。

そういう世界があるから希望を失わずに生きていられます。真面目な話です。

鎌倉市図書館の司書さんが言ってくれました。



今年かなり話題になったツイートでした。

よくぞ言ってくれたという感じでした。

今まさに苦しんでいる子には響いたんじゃないでしょうか。

若い時代なんて、苦しいことばかりなんですよ。支えがないとうまく生きていけないんです。

そして、ライトノベルもあるよ、とよく言ってくれました。

ライトノベル作家は読者を楽しませるために、必死になって、体力も精神もすり減らして一つ一つの作品を作っています。

だから、どこかで辛い思いをしている誰かの毎日を少しでも癒す力があると思っています。



『世界で2番目におもしろいライトノベル。』

地味に物議を醸しているタイトルですが、決まるまで二転三転しました。

企画段階では、『レンタルメサイア№5』といいました。

その後、『終幕英雄<エンドロール>の惜日』、『となりの終幕英雄<エンドロール>!』、『終幕英雄<エンドロール>は終わらない』となり、しかしどれも没とされ、「世に刺さるような強いタイトルがほしい」という編集氏の意見を踏まえ、『世界で2番目におもしろいライトノベル。』となりました。

当初、私はかなりの拒否感を示しましたが(当然です)、今となってはこれでよかったかなと思います。

みんなに読んでほしい話だから、注目してもらえる服を着ることも必要だと思ったからです。

帯だって、すんなりとは決まりませんでした。

私の意見は「最強のライトノベルの主人公たちが俺の脇役になってしまった」という作品のコンセプトを大きく書いてほしいということでした。

だけど、最初に出てきたデザインは、「ラノベを愛する全てのひとへ」と大きく書かれたものでした。

(再掲)



それは編集さんの考えを反映したものでした。だから私は上記のような意見を述べました。

抽象的なメッセージよりも、作品のコンセプトをはっきり書いた方がいいと。

帯はとても重要です。タイトルとともに、ぱっと見で読者に飛び込んでくる情報です。

タイトルとイラストと帯、ここで注目をひけなければ負けと言っても過言じゃありません。

編集さんは私の話を聞いて、「わかりました」と言いました。

でも、上がってきた第二案には、変わらず「ラノベを愛する全てのひとへ!!!」と書いてあって、私が要請した作品のコンセプトは脇に寄せて書いてありました。

ぜんぜんわかってねえじゃねえかと思いました。

でも私はそれに対して憤慨することはありませんでした。

むしろこの人はそれだけこの作品を大事に思ってくれてるんだなと思いました。

「ラノベを愛する全てのひとへ」なかなか言えることじゃありません。かなり大口叩いています。おかげで私の両膝はいまだにがくがく言っています。

作品作りの最中は、メールやLINEで頻繁に連絡をとりますが、編集さんは言いました。

「この作品は多くの人に読んでもらいたい」「全力で売りにいきます」

それは、私がずっと言ってもらいたかった言葉でした。

約4年前、私は集英社のライトノベル新人賞をいただいて世に出ました。

授賞式の夜、私は初代担当にこんなことを言われました。

「こんなこと言っちゃいけないけど、作品を世に送り出すのは競馬を見るのと同じ感覚」と。

市場は複雑を極め、何が当たるかわからない。お金と労力をかけて大きくプッシュした作品が不発に終わり、ほとんどプロモーションをかけなかった作品が大きくはねたりします。

その感覚は、数年の作家経験をへた今、よりよく理解できます。

でも、当時の私はさみしい気持ちになったのは確かでした。

彼は悪い人ではありません。私を馬鹿にしていたわけでも、びびらせようとしたわけでもありません。

率直に現実を教えてくれたので、そういう意味ではとても果断で、思慮深い人でした。

ライトノベルというのは、一つのレーベルで月に何冊もでています。

多ければ20冊、最近のDX文庫では6冊程度です。

それが毎月続きます。作っては出し、作っては出しの繰り返しです。

ゆえ、一部の大型新作や既存の売れ筋作品を除けば、一つの作品にあまり入れ込むことはできないのです。

悪い言い方をすれば、流れ作業になってしまうのかもしれません。

編集さんにとっては、私の作品もその毎月こなすルーティンの一つでしかありません。

なのに「この作品は多くの人に読んでもらいたい」「全力で売りにいく」、そう言ってくれた心意気には、さすがの私も打たれました。

今は誰かれかまわず喧嘩を売る狂戦士と化した編集氏ですが、かつては人の心を持っていたのです。

まだ私は根に持ってますけど(過去記事参照ください)。


……などといろいろ書きましたが、今作は別に重い内容じゃありません。

当然ラノベ叩きの本でもありません。

いたって普通の、軽くて陽気な学園コメディです。

ライトノベルが好きな人と、「やっぱラノベ面白いよね!」とわかちあうお祭りみたいな感覚で書きました。

気が向いたら暇つぶしに読んでみてください。適当にトイレとかで。

『世界で2番目におもしろいライトノベル。』

よろしくお願いします!


編集部ブログでもいろいろ紹介してくれました。ありがとうございます。
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